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地学自主ゼミ(2003年度版)

第2回/4月28日 地球の大きさと形

I. 地球のあるところ ・・・すごく簡単に。

銀河にある太陽という恒星の、太陽から見て三番目の惑星。

銀河系

銀河(系)は星の集団で円盤形をしている。
数千億個の星が集まっていて、星と星の間には水素がある。

太陽系

太陽 : 恒星。地球から約1.5億km離れている。H・He から出来ている。
太陽系は九つの惑星から出来ていて、太陽から離れると寒すぎ、太陽に近いと暑すぎる。
地球は丁度いい場所にあったので、現在のような環境になり、生命も進化することができた。


II. 地球の大きさ

どうやって地球の大きさを測ったか? → どうして地球が球体であることを発見したか。

☆ エラトステネス(前275年頃 - 前196年頃)
測地学・地球科学の「祖」
アレキサンドリア(エジプト)のムセイオン(研究所)の大図書館長。
夏至の日の正午:
北回帰線上のシエナ(現在のアスワン)→ 井戸に太陽の光が入る。立てた棒に影ができない。
アレクサンドリア → 井戸に太陽の光が入らない。立てた棒に影ができる。
   ↓
エラトステネスはこの原因を「世界が球体である」ことで説明した。
もしも地球が平面だったら もしも地球が球体だったら

 太陽は充分に遠いところにあるから、太陽光線は全て平行に差し込むとすると、もしも地球が平面であるならば、二つの地点では同時に井戸の中に日が差すはず。 しかし、一方では日が差さないという事は、地球が球体だからである。

 それでは、地球が球であるならば、その大きさはどのくらいなのだろうか?
 エラトステネスは実際にアレキサンドリアとシエナとの間の距離を計測し、計算で地球の大きさを求めた。

シエナとアレキサンドリアの距離と、アレキサンドリアでの太陽の傾き

 シエナとアレキサンドリアの距離(χkm)と、アレキサンドリアでの太陽の傾き(θ°)は、

χ=890 km , θ=7.2°

だったので、地球の円周は、

890 × 360÷7.2 = 44500 km
∴地球の半径は 44500÷2π ≒ 7086 km

 現在わかっている実際の地球の円周は 40000km、半径は 6300km なので、エラトステネスは二千年も前に一割程度の誤差で地球の大きさを求めていたことになる。 エラトステネスが偉いのは、「大地が球である」と発想を転換することで常識に捕らわれずに自然現象の疑問点を解決し、さらに、非常に単純な方法で疑問点から新しい発見(地球の大きさを求めた)を導き出した事にある。

 エラトステネスがあまりにも偉かったからか、または後世の人がバカだったのか、その後は中世を通じて、このエラトステネスの求めた値は信じられてたらしい。 しかし、近代になってからより精度の高い方法で地球の大きさが測られるようになった。 → 三角測量(誤差 〜0.1%)


III. 地球の形

1687年 I.Newton卿が「万有引力の法則」を発見。
→ 地球の形は、遠心力の影響で楕円体ではないかという疑問が生まれる。
1735年 フランス王立学士院の探検隊
→ 赤道と北極で子午線(=経線)1°の長さを精密測量する事になった。
「もし北極での1°の距離が、赤道での1°の距離よりも長ければ地球は楕円体だろう・・・」
子午線と緯線
タテの線が「子午線(経線)」で、ヨコの線が「緯線」です。

 ・・・ところが、実際に測るのは大変だった。北極隊はスエーデン、赤道隊はエクアドル(現在のペルー)に派遣されたのだったが・・・・・。

※ 因みに Ecuador(スペイン語)= Equator(英語)でまさに「赤道」という国の名前。

[北極隊]
 山頂に目印を立て、森と沼地の中に観測所を設営。厳冬期を含む一年間を費やして、全長 100km を超える三角測量を行った。
[赤道隊]
 アンデス山中での作業は困難を極めた。事故・病気・暴動などで次々に隊員を失い、九年半の歳月を費やしてしまった(隊長はブーゲ → 「ブーゲ補正」に名を残している)。
 こうして大変な苦労の末に得た結果は、北極:111.09km・赤道:109.92km だった。
→ つまり、地球は回転楕円体であることが証明された。
・・・・・フランス人って、すごい。

 現在わかっている値は以下のようである。

地球の赤道半径:6378.1 km ・ 極半径:6356.8 km

 ところで、このような測量をするためには、実は正確な「緯度と経度」を知っている必要がある。緯度を知るのは比較的簡単で、天体観測(北極星)で知ることが出来る。
 ところが、経度を知るのは難しい。 これを知るためには、まず精密な時計を作ることから始めなければならなかった。 つまり、絶対に狂わない時計を船に積んで出航し、経度を測りたい地点で予測可能な天体現象から求められる現地時刻との差から経度を計算したのである。

 現代では、地球の形も大きさも、ともに人工衛星を使って測られている。 人工衛星の軌道の高度は、地球の重力によって決まるので、その軌跡を追えば地球の形が正確に決められる。 ところが、この人工衛星の軌跡、つまり重力から決まる地球の形は単純な回転楕円体ではなくて、もっと凹凸のあるものらしいということがわかった。

 では、どうやって地球の形を表したらいいのか、ということになって、考え出されたのが

「ジオイド」 : 平均海面を延長して得られた、地球全体を取り囲む面。

である。これは、別のいいかたをすれば「水が重力と直角方向に静止した面」ということになる。実際の地球表面は起伏が多いし複雑なので、ジオイドを最も基本的な地球の形として用いる。

 ジオイドの形は「洋梨型」をしていて、これとよく一致する楕円体を地球楕円体という。
 ジオイドが地球楕円体と完全に一致しない(例えば南極は凹んでいるし、北極は凸になっている)のは、それらの場所の重力が他よりも弱かったり強かったりする事を示している。

→ つまり、地球の内部には重力の不均一がある?

・・・・・そうすると、地球の中はどうなっているのだろう? という疑問が出てくるのである。

■ 宿題 ■

- 問 -
 地表から 10000m の高さまで飛行機で上昇したときに、何 km 先まで見えるかを計算せよ。 但し、地球は完全な球体であると仮定し、外周は 40000km とする。

- こたえ -

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